ごあいさつ
J-OSG研究会は「弓部大動脈疾患に対する術式のエビデンス構築」に対する臨床課題を共有し、最新の臨床成績に基づく最適な治療選択の提案と普及、また、患者のQOL向上に貢献することを目的として発足しました。
我が国において大動脈疾患は世界的に見ても頻度の高い疾患であり、高血圧患者の増加、高齢化、大動脈疾患の検査・診断のレベルの向上により、特に大動脈解離の患者数は世界のトップクラスとなっております。2012年の日本胸部外科学会統計によると非解離性胸部・胸腹部大動脈瘤手術は8,678件、解離性は6,266件施行され、手術数は年々増加の傾向にあります。
弓部大動脈に対する大動脈疾患の治療法も進歩を遂げており、従来標準的に行われていた胸骨正中切開法や左開胸法を要する全弓部大動脈人工血管置換(TAR)も、エレファントトランク法が考案され、広範囲にわたる病変に対しても比較的低侵襲で行えるようになりました。さらに1990年代初期からは胸部大動脈瘤に対するステントグラフト療法(TEVAR)が始まり、国内でも急速に多くの施設で施行されるようになりました。
近年では、中枢側大動脈を人工血管と吻合し、末梢側はステントグラフトの拡張力によって吻合を簡略化するオープン型ステントグラフト(OSG)が承認され、臨床使用が始まっております。しかしながら、このOSG術の長期の臨床成績のエビデンスはまだ十分ではありません。
そこで、本会は我が国における弓部大動脈疾患に対する術式のエビデンスを構築すべくOSG術と、従来の治療法であるTARを対象とする臨床研究を計画いたしました。多くの先生方に参画いただき、この新たな治療法のエビデンス構築にご協力頂きたいと願っております。
先生方におかれましては、この研究の趣旨をご理解いただき、何卒ご協力賜わりますよう宜しくお願い申し上げます。
J-OSG研究会 代表 神戸大学大学院医学系研究科循環動態医学講座 呼吸循環器外科学研究分野 教授 大北 裕 |
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